書評:『なっとくする群・環・体』


2017年 09月 22日

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なっとくする群・環・体

著者    野崎昭弘
ISBN         978-4-06-154572-4
判型          A5 
ページ数    198ページ
発行年月    2011年2月25日
発行     講談社
本体価格    2,700円

微積、線形代数だけではなく、現代数学にちょっと触れてみたいなということになるど、代数学の入り口である、群・環・体を知らねばならない、と思いちょっと読んでみた。

本書は、群・環・体の基本をできるだけ具体的な例を多くして、分かりやすく書いているのでお手ごろである。
しかし、ときどき筆がすべったためだと思うのだが、一部は定義、定理?証明が延々と続くこともあり、ハードな部分もある。まあ、そういう箇所では、ハードになるがとの前触れはあった。

易しくしながら、群・環・体を一通り書こうとしているので、しばしば証明や説明が飛ばされることがある。ページ数を抑えるということで、そうなってしまったと思われるが、範囲はこのままで、さらに丁寧な説明であると、本当に初心者向きになったのではと思う。

最終的な目標は代数方程式論、5次以上の代数方程式は代数的には解けないことを説明するつもりだったらしいが、そのために群・環・体の説明を始め、アーベルやガロアの紹介はあったが、代数方程式論については他書でどうぞということで終っている。

著者の色がかなり強く出ている本である。つまり、自己主張が強いのである。このあたりは好みの問題かと思う。

・・・なんてことを書いたが、自分で現代数学の勘がつかめたところまでいけてないように思う。
読んでいて、すべてがスッと納得できるところまではいかず、もやもやも少し残っている。
これは、抽象的な数学分野であればあるほど、本を読んでも掴みどころのなさに苦しめられる。
それでも、あれこれ読んでいると、いつの日か、全体像が見えてくることがある(のかなぁ)。

本書以外で同じ分野を扱った有名な本に、『群・環・体入門』新妻 弘、木村 哲三 共著、共立出版がある。
こちらは、同名の演習書もあり、もっと普通の入門書ではないかと思う。

群・環・体については、代数学の本の最初に載っている場合も多く、本書よりも高いレベルの本が多いらしい。