EMO2023という学会に参加,発表してきました.その内容について報告します.
去年7月にイタリアのパドヴァで開催されたWCCI 2022にて,Supervised Multi-objective Optimization Algorithm (SMOA)を発表しました.SMOAは,既知の良好な解集合が存在する状況において高い性能を発揮します.しかし,解集合が一部の領域のみに分布していた場合,その性能が低下する問題がありました.SMOAは,アルゴリズム中で応答曲面法による推定を利用するのですが,そのタイミングは一度きりです.一般に,点と点の間を推定する内挿に対して,点の外側を推定する外挿は,その推定精度が低下することが知られています.既知の解集合から点の外側の推定が求められる場合,SMOAは性能が低下する弱点がありました.
SMOAの改良アルゴリズムIterative SMOA(I-SMOA)を提案しました.I-SMOAは,推定解を1つ選択して,その推定解の実際の位置を求め,その解に基づいて推定モデルの更新を繰り返すアルゴリズムです.最初に推定した解の位置が実際の位置と異なっていても,その推定結果は更新されていくため,最終的に最適化性能が高い解集合を獲得できます.解集合が一部の領域のみに分布していた場合でも,I-SMOAは高い性能を発揮できます.
会場の建物入り口は,回転ドアでした.発表会場は,聴衆との距離がかなり近い環境でした.ZOOMでの参加者もいるため,主催者側が用意したパソコンで,マウスのように扱うレーザーポインターを利用して発表しました.専門家の方々の前での発表は非常に緊張しましたが,発表内容が聴衆に伝わって,ポジティブなコメントが貰えて嬉しかったです.質疑応答は至らぬ点が多く,反省点が多くありました.今回は初めて体験することが多くあり,たくさんの経験と課題が得られた学会でした.
今回オランダにきた日本人学生は自分のみだったので,その点は寂しかったです.学会会場で発表するのは先生方が多く,学生はオンラインでの発表が多い印象を受けました.学生同士の交流があまりできなかったのは残念ですが,ベテランの先生方と議論できたのは嬉しかったです.今後はもっと上手くコミュニケーションが取れるように,英語を頑張ります.