就職活動を非常に、あるいは異常に熱心にやっている学生にお目にかかる。勉強、研究、趣味、クラブ活動、デート、アルバイトなど学生ならやるべきことは山のようにあるだろう。
就職活動ばかり熱心にやっていると、学生生活の目標が就活なのかと不安になることがある。大学入学まではずっと受験勉強で、その後が単位取得と就活だけだったら、相当歪んだ人間になるだろう。
インターネット上には、就職活動のためのサイトが多数あり、さまざまな情報が発進されている。会社説明会、応募、面接、内定がそれぞれいつ頃あり、いつ頃決まるのが標準的な日程なのか示されている。こういうペースで決めていかないと落ちこぼれと思わせる風潮すらある。
しかし、まだ社会のこともそれほど良く分かっていない状態で決める最初の就職先で、人生が決まってしまう訳ではないだろう。もう終身雇用制度は崩解して久しい。 IT 業界のような新しい業界では、中途採用の割合が非常に高く、終身雇用では業界自体が存在すらできない。
最初の就職先は、それこそ本当の長期インターンシップとでも思って、社会やビジネス世界の中に自分を置いて、内側から眺める時期であろう。学生の立場で、本やインターネットで情報を得たくらいでは、たいしたことはないだろう。
インターンというのもあるが、数週間程度ではなかなか分からない。本当は、1 年くらいインターンをするのが理想だろう。私の知合いに、大学院に進学と同時に 1 年間の休学届けを出して、研究室の先輩がやっている IT ベンチャー企業で 1 年限定の社員をした者がいる。今は大学の先生をしているが、先生になるにしても、企業を内側から見ておくこと、IT ベンチャーが何かを内部からじっくり勉強することが非常に重要だ。
採用側から見れば、就職活動ばかりして、就職活動上手になっている学生は絶対に採用したくない。