先日、大学の先生とじっくりと酒を飲みながら情報交換、意見交換、より正しくは裏情報、本音情報交換をした。研究だけでなく、企業で働いた経験もあり、今でも業界と深くかかわっていて、 IT 業界の動向、さらには裏側もちゃんと知っている人で、就職担当の教官でもある。
学生が就職先を選ぶとき、就職課 (最近は見てくれを考えて、キャリアセンターとか呼ぶ大学が多くなってしまった) へ行って、会社案内を比較して、表面的な情報だけで企業を評価してしまう場合が実に多いらしい。
数多くの企業と付き合っているような先生なら、企業名を聞けば、その企業が学生をどうしようとしているか分かってしまうことも少なくない。学生が、良い就職先を見つけましたと報告してくるのが業界でも悪名高い企業で、「馬鹿、止めとけ、人間として生活できなくなるぞ」と一喝するしかないことがしばしばあるという。
採用面接をしていると、結構優秀なのに、採用詐欺に思いっきりはまって、逃げ出すのに苦労している人に遭遇する。非常に甘いことを言って採用してしまい、実際には入社とともにどこかに売り飛ばしたり、監禁状態にされることがある。こんな罠にはまらないようにしよう。でも、なぜ気付かないんだ?
就職先の研究をちゃんと行なわないと、本人が一番被害を被る。大学は、しょせん数年の問題とも言えるが、就職はずっと先まで影響し、自分の生活に深くかかわるので、ちゃんと納得できるまで調べよう。就職先選びこそ自己責任なのをしっかり自覚しよう。
企業を評価する方法は色々ある。学生の場合、一人で評価するのはかなり厳しいかもしれない。しかし、経済、経営、商、法などの学部で勉強していて、採用詐欺を見抜けないのは、教育がちゃんとできていない証拠ではないかと思う。企業や社会、人を知らずにそういう学問をするのは無理だと思うのだが、現実を知らないままのうわべの教育が多いように思う。
学校の成績と社会での評価はほとんど無関係なので、せめて就職詐欺に会わなくて済むよう勉強すべきだろう。「新卒採用詐欺にだまされるな」は一度で済ませられるような単純な内容ではないので、時々書いていこうと思う。今回は、その「まえがき」だ。