当社のように、コンピュータやネットワークに関する物作りを中心に活動していると、コンピュータ技術があるかないかだけで判断すると思われることがある。採用判断は、けっして技術面だけではない。技術がいくら優れていても、断わることもある。
実際の仕事では、コンピュータやネットワークの技術以外の部分が非常に多い。いわゆる技術知識で済むところ以上に、それ以外の、ほとんど捕えどころがよく分からないような作業が少なくない。
まず、どんな作業をするにしても、そこには人間がいる、ということ。複数の人が集まり、それぞれが様々な思惑を持って行動する。これは、当社のような企業に限らず、どこにでもある問題だ。学校なら、クラスはもちろん、クラブでも複雑な人間関係が存在する。
部長に向く人もいれば、副部長、会計などそれぞれに向き不向きがある。スター選手も欲しいし、でもそれだけでは部は成り立たない。掃除、洗濯などの作業も必要だ。共通部分も必要だが、全員が同じではどうにもならない。全員が部長になろうとしたら、それこそクラブは無茶苦茶になる。
企業活動も、結局人間の活動で、主たる活動の集団は、数名~十数名くらいが一般的なはずだ。これらの中で、どの立場をを演じるかが重要になる。
どうなるか分からない新しいことを見つけて来る人もいないとビジネスが発展していかない。しかし、チャレンジする人ばかりだと、リスクばかりが高くなり、ほとんどの場合破綻する。
会社でも、人が必要に応じて適材適所にきちんと配置されている訳ではない。そんな理想的な会社などまずないし、もしそうなら、中途採用などする訳がない。そういうアンバランスな中へ、どの辺から入って行き、数年後にはどういう位置にできるかを採用側は考える。
このために、その人の知識や経験よりも、どういう人間かを把握しようとする。そのために、過去にやってきた様々な行動、活動を聞くわけだ。採用してから人間を変えようとしても極めて困難だ。面接で、どういう人間かをきちんと具体例をあげながら説明してくれると、採用側は非常に助かる。