採用最前線物語 – 38.人事以外の人の話を聞こう


採用最前線物語

執筆:H.F

人事以外の人の話を聞こう

就職活動で会社説明会に行ったりするだろう。最近の元気な学生の中には、逆求人といって、自分自身を企業に対してアピールし、企業側から声を掛けてもらおうとしている者もいる。しかし、どうも企業の正しい人に対して呼びかけていない気がする。

企業を知ろうとしたとき、人事担当者の説明を聞いただけで終っていないだろうか。確かに採用に関する窓口は人事であり、就職希望者、転職希望者が人事の人と話したり連絡を取るのは普通だ。

しかし、人事担当者と話しただけで会社が分かるだろうか。人事は、直接何かを生産したりサービスしたりする部門、つまり会社の主要業務を行なっている部署ではない。社内の様々な部署で必要としている人材を何とか集めて来る部署である。社員に対するサービス部門だが、直接利益を上げる部門ではない。

人事は、人事のプロであっても、普通は技術や営業などの会社の本業のプロでなく、会社のことを詳しく聞こうと思っても、そもそも詳しくは知らないし、経験もない場合が多い。人事の話だけでは又聞きで終るだろう。

会社のことをちゃんと知りたければ、実際に自分が配属されるであろう部署の人の話こそ重要である。会社全体の方向性、将来性を考えるなら、社長や役員などの話を聞かなければならない。

人事担当者としか面会できない、話が聞けない場合には注意した方が良い。本当に人を採用したかったら、人を入れたい部署の長なり部員が出て来て話をしてくれるはずだ。いつまでたっても人事しか出てこない会社だと、人事が採用した者を、一方的に各部署に割り振るだけで、個人の能力や適性を考慮してくれない危険性がある。

人事は、人と話をするプロである。会社の中のスカウト部隊と言ってもよい。そういう人と話すだけでは、社会経験も少ない人は簡単に丸め込まれかねないので注意しよう。

人事も担当しているので、あちこちに人事関係でも出掛ける。そういう席で、やたらに「人事様」と言われることがあり、逆にこの人達は大丈夫だろうかと不安になる。人事に気に入られることで採用を勝ち取ろうとしているのかとつい思ってしまう。