企業では、色々決断しなければいけないことが多い。誰を採用するかから、どんな新製品を開発するか、どの企業と提携するか、事業分野をどう広げるか、どの広告媒体を使うか、資金調達をどうするか。大から小まで、決断することばかりである。
決断、あるいは決定を行なう場合、会議で決められることが多い。皆であれこれ意見を出し合い、しっかり調査した上で、つまらない失敗をしないように慎重に決める。皆で納得するような決定がなされる。
しかし、そのように慎重に決めたはずの決定が、往々にして外れる。どちらかというと、慎重に正しい方を選択した場合に限り外れる。特に、新製品、プロモーション活動などにおいて、外れが著しい。
これが絶対良いと思ったことに資金を注ぎ込み、労力も注ぎ込むのだが、どこか変ではないだろうか。
自分達が良いと思ったものが売れるというのは誤りである。自分達は、お客ではない。お客の視点で考えられる人など、滅多にいるものではない。お客が良い、欲しいと思ったものが売れ、ビジネスになるだけだ。
そもそも、自分を多数派だと思うのは変である。これだけ自動車が普及していても、自動車に詳しい人は一部である。 IT が普及しても、コンピュータやインターネットに詳しい人も一部である。自分のいる環境を世界の縮図のように考えてはいけない。常に、専門家、技術者は少数派の世界にいるので、自分と同じように考える人が多数派と思うと間違いを犯す。
特に、斬新なものを作ろうとしたとき、会議をすればするほど失敗する。斬新なものは、皆の意見の総和からは決して出てこない。皆に否定されたものこそ斬新で、成功の可能性がある。そんな無茶な、と思うようなアイデアこそ価値がある。斬新とは本来そういうものだ。
会議は、皆が納得したこと、合意したことを実行したのに、うまく行かなかったために開催していることが多い。それなのに、また皆が納得することを探し求めることが多い。納得されることが失敗したのなら、納得しないことを行なうべきではないだろうか。