プロダクトやサービス、ソリューションを生み出す企画と言う部署は、会社の花形と呼べるポジションのひとつです。しかしながら、個人や少数のチームでうまくいっている事は多くても、組織だって成果を上げている会社は、数えるほどしかなく、この部署の運営とスキルの難しさを物語っています。
運営手法自体は各社の社風や組織構成に左右されるものなので、ここでは割愛することとして、企画に必要な本質やスキルについて、お話しましょう。
ビジネス書などにもよく書かれていますが、企画は、根本的にはアイディアを生み出すという性格上、才気煥発な人、独創的な人に向いていると、一般的には言われています。まあ、確かにその通りではあるのですが、それはある一定のレベルを超えてから話されるべき適性のことで、企業での実践上では、もっと大切なことがあります。
ビジネスロジックで見た場合、企画というのは個人だけでなく、チームや関係する人たち皆と共有しなければなりません。そして特にソリューションの提案などでは、自分だけが理解できるすごいアイディアを思いついても、まったく価値がありません。顧客が納得・理解できる、自分の考えたアイディアの「他人との共有」が重要なのです。
「他人との共有」ができれば、そのアイディアはどんどん大きく、そしてより肉付けがはっきりしてきます。これが速度やシチュエーションが限られた企画という職場環境には大切なことです。
では、どうすれば他人とアイディアや思考が共有できるのでしょうか?
まずはテーマやキャッチフレーズから考えることです。
しかもそのフレーズは、他人と共有できる、なるべく使い古されてなく、しかし充分に理解できる短い言葉で。そうすることで、関係者全員の考えるべき思考に枠や価値基準を設定でき、企画や提案活動の質を高めることができます。
そして、これが何より大切なのですが、思考を瞬間的に図にして、コミュニケーションすることです。
ソリューションの提案案件などでは、かならずインタビューフェーズがあります。このフェーズでは、顧客側の要望、不満、解消の目的などをヒアリングするのですが、この聞き取りの時点で、まず図形化して把握する。そしてその図を後で実際に描いてみる。
そうすることによって、問題やその構図が 3 次元マトリックスで捉えるられるようになります。この右脳系のインプット方法は非常に便利です。
さて企画という業務は大きく分けると、インプットとアウトプットに分かれます。前半が現状把握やアイディアのインプットとなれば、後半は解決とそれに至るロジックのアウトプットに取りかからなければなりません。
それはひらめいた図たちを関連させ、論理的に項目に落とし込んでいく、左脳系アウトプット方法です。
右脳でヒアリングし(あるいはひらめき)、左脳でアウトプットを出す。
脳で考えるなんて現実的ではないよ、と言う方には、言い方を変えましょう。
インプットは拡散思考、アウトプットは収縮思考で。
思考を広げ、そしてまとめ、また広げる。その繰り返しをゴールと思われる時まで、ひたすら連続して揉んでいくこと。
この拡散、収縮の繰り返しが企画のコツであり、愚鈍ともいえる反芻を飽かず行うことが、企画職の本質ではないかと筆者は考えています。
なお、SE や技術あがりの多くは、図で考えることをしないまま、論理的要件整理のまま提案書を作成しがちですし(顧客には「まあ、いいたいことはきれいにまとめてくれてるけどねー」と言われます)、逆に自称文系アイディアマンは、論理アウトプットができず、意味不明な提案書(「おもしろそうだけど、どこからどう手をつけていいかわからないよー」と言われます)を作ったりします。
よく、案件が失注したりすると反省会を行っている企業もありますが、こと企画に関しては「反省より反芻が重要」です。
この本質に、提案・プレゼンの高技術スキルが備われば、かなり強力な企画マンといえます。
今回お話したのは主に「考える技術」でしたが、提案・プレゼンは「見せる技術」です。こちらを磨けば、考える方を少しくらい疎かにしても隠せてしまえるくらい強力な技術です。
これらについてもお話したいところですが、長くなってしまいますので、またいつかの機会にでも。