コンピュータ技術者であるならば、英語は当然できた方が良い。どういう分野をやるかによるが、新技術に興味があり、日本だけでなく世界のコンピュータ事情も知りたいなら、英語ができること、少なくとも英語が読めることは必須だ。
コンピュータ技術の大部分は、欧米からやってくる。 OS とかプログラミング言語、その他の様々な仕様は、日本だけで決めても意味がない。世界で受け入れられないものは、細々と日本国内で何とか生き長らえるのが限界だ。
昔は、コンピュータのマニュアルは翻訳されず、やむなく英語で読むのが当然だった。 Unix マシンのマニュアルはとくにそうだった。やっと日本語のマニュアルを画面上で見られるようになり、これで楽になったと思った。
ある日、日本語のマニュアル通りに操作しても、エラーが出てしまって困った。どうしても納得できなかったので、原文つまり英文マニュアルを見たら、翻訳のまったく必要ないサンプル部分に間違いがあるのを発見した。それ以来、日本語マニュアルはあまり信用していない。
英文マニュアルは、英文の部分を努力して読まなくても、サンプルプログラムや図を見て、ちゃんと理解したくなった時にだけ英文を読むだけでもずいぶん違う。
英文マニュアルの英語は、実は思った程は難しくない。まえがきには能書が書いてあり、難しいこともあるが、そこは無視して本文を読んでみれば、やさしい筈だ。難しいのは、概念の説明と冗談くらいだ。
英語を読むのを拒否し、日本語の情報だけに頼ろうとすると、半年から 1 年の情報の遅れは覚悟しなければならない。雑誌の記事程度なら遅れはもっと短いだろうが、まとまった書籍となると、大きな遅れが発生する。
IT 業界で、半年、1 年というのは非常に長い。たった 1 年で、新しい技術が廃れてしまうことは珍しくない。こういう世界で、技術で勝負したいなら、英語を完全に避けてしまうのは最初から負け犬になるようなものだ。