採用最前線物語 – 13.本番に強い人と弱い人


採用最前線物語

執筆:H.F

本番に強い人と弱い人

仕事、試験、研究、スポーツ、何でも本番の前に準備がある。それが、勉強だったり、練習だったり、模擬試験だったり、予行演習だったりする。

IT に限って言えば、新技術について幅広くかつ深く情報蒐集しているらしく、知識が豊富な人がいる。ソフト開発技法についても、詳しかったりする。話を聞くと、もうこの人に任せておけば開発は万全だと思ってしまうくらいだ。

延々とプランを練り、すばらしいプレゼンをし、それに従って開発をスタートする。このあたりまでは、本から学んだ通りになることもあるが、実際に開発が進み出すと、予想通り行かなくなるのが常だ。

どんなに沢山の情報があり、それらから理想の開発方法を考え出しても、現実の環境は厳しい。人、技術、予算から社会環境まで、条件は微妙どころか大いに違う。理想と現実の違いを知って、現実にどんどん合わせて行ける人が、本番に強い人ではないだろうか。

それから、ビビらないことも重要だ。プログラムを作っていても、それの使われ方は様々で、多額の取引に関するもの、医療に関するもの、交通運輸関係では事故に直結するものもある。プログラム的には簡単でも、責任の重さに潰れる人は少なくない。

一方で、計画書も書かず、何事も適当に開始するのだが、本番になってから次々と適切な手を打ち、素晴しい開発をしてしまう者もいる。スポーツで言えば、普段の練習時間は少ないけれど、本番では好成績を残すタイプだろう。

企業として重要なのは本番だ。あくまでも本番のために作業をしている訳だ。本番で成功するためには、自信を持って本番に望めるように、体験も準備も必要だ。どうすれば本番に強くなるかは昔からあれこれ言われているが、決定打はない。適する方法は個人や組織で違うだろう。

なお、人生や就職には本番しかない。練習ができないので失敗は仕方がないが、ムダな失敗をしないように。失敗から何かを学習すればよい。