採用最前線物語 – 04.実際に使うものを作って始めて勉強になる


採用最前線物語

執筆:H.F

実際に使うものを作って始めて勉強になる

大学・専門学校などでプログラムの勉強を行なうとき、何等かの教科書なり、学校側で用意されたテキストにしたがってプログラムを作って、プログラムの様々な機能を学習していく。

実際のプログラム開発はその延長線上にあるだろうか。そういう学習なり演習を続けていて、社会で使われているシステム開発の準備学習になるだろうか。

テキストを読んで、様々な機能を学習することは当然必要だが、それでは非常に大きなものが忘れられている。勉強して良い成績を取る程度のことで、現実社会に繋がるだろうか。

プログラム教育は、実際に顧客が使うもの作るのが一番だ。どんなプログラムでも、社会で実際に使われ役立っていれば、立派である。

使われれば、当然利用者からの不満が出る。利用者はどういうことを期待するのかを知ると、ソフトウェア技術の端くれを学習するよりはるかに高いレベルに到達できる。

強い要求があって、はじめて技術を修得しようと思う。トラブルが発生すると、それこそ本気で必要技術を探し始める。そして、何を自分が修得していなかったが骨身にしみて分かる。こういう失敗経験により、学習の意味が分かってくる。「勉強しろ、勉強しろ」といくら言っても効果は絶対にない。

しかし、今の大学は、まだまだ玩具の教育しかしていないところが多く困ったものだと思っていたら、コラボレイティブ・マネジメント型情報教育というのを見つけた。大学、企業が、様々な形で連携を深め、本当の人材を育てなければならない。まだまだ小さな一歩だが、こういうことを意識するところが増えれば、本当の教育改革に繋がるのではと思う。

発表会で話を聞いた。実際に仕事を発注し、企業の若手がプロジェクトマネージャとして参加し、学生が開発する。もちろん、授業として行ない、半年で完成させる。

教育効果は非常に高い。しかし、最終成果物を発注者が使ってくれるレベルに到達した案件は1つもなく、今はなんとか実用になるソフトを作れるようになるのが目標という。現実と教育の溝はそのくらい大きい。