採用最前線物語 – 47.考えるだけではダメ


採用最前線物語

執筆:H.F

考えるだけではダメ

大量の情報を集めて詳細に調査検討したり、書籍などでしっかり勉強したりする人は多い。要するに、頭をしっかり使って、何が正しいかを理屈で、頭で判断しようとする人は多い。

しかし、こういう人が仕事を始めると、残念ながらよく失敗する。というより、ほとんど確実に失敗すると思って間違いない。

「あの本にこう書いていた」、こういう理論がある、新技術に従うとこういうやり方をしなければいけない、など理屈には詳しい。でも、実際に試したことがあるのか確認すると、理屈だけが頭の中をグルグルと回っているだけのことが多い。

どんなに立派な理屈で固めて製品開発しても、その製品に興味を持ってくれる人が現われなければ確実な失敗である。逆に、何も考えずに適当に製品を作りあげても、その製品に興味を持つ人がどんどん現われ、売れて利益が出てしまえば、ビジネス的には間違いなく成功である。

学問の世界は理屈が重要だろうが、ビジネス、企業活動では、学問的に正しいかどうかが問題になることは極めて少ない。それよりも、社会に受け入れられるかどうかが重要である。

そのためには、学問、理屈よりも、社会とできるだけかかわり、社会が必要としているものを見つけることが重要になる。自分の頭の中でいくら素晴しいと思っても、それではお客は自分一人に過ぎない。

ビジネスのネタは頭で考えるものではなく、社会の中に転がっているものを拾うだけだ、というのがある。社会をよく知れば知るほど、社会が何を要求しているか見えてくる。友人だって、非常に長く深く付き合っている場合には、相手が何を考えているかまで分かるようになるだろう。

知識修得の勉強も必要ではあるが、それ以上に重要なのが人間社会の勉強だ。長く生きていれば、色々なことを経験するものだが、気がついた時には遅過ぎる場合が多い。若いうちに、多様な人々、多様な社会を経験しておくべきだ。

座学だけではダメで、実際に手足を動かして物を作ったり、社会に出て、さまざまな活動をしてみないといけない。いくら良い物を作っても、本に書かれていることを実践しても、簡単には受けてもらえないという体験こそ必要だ。