進化計算によるAI活用モデルの新ソリューション「進化計算ダーウィン」提供開始


2019年 06月 13日

2019年6月13日
株式会社タイムインターメディア

タイムインターメディア
進化計算によるAI活用モデルの新ソリューション 「進化計算ダーウィン」 提供開始

※2020年6月1日追記
進化計算DARWIN(ダーウィン)は、進化計算「天啓|TENKEI」へと名称を変更致しました。
詳細は以下ページをご参照ください。

進化計算AIプラットフォーム 進化計算「天啓|TENKEI」特設サイト

バーチャレクス・グループの株式会社タイムインターメディア(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:佐藤孝幸、以下「タイムインターメディア」)は、これまで進化計算によるAI活用モデルのITソリューションでの実用化に向けて取り組んで参りましたが、この度新ソリューションとして「進化計算ダーウィン」の提供を開始することをお知らせいたします。

「進化計算ダーウィン」は最適化問題のためのAI手法で、与えられた課題に対して何億、何兆、或いはそれ以上の天文学的な組み合わせパターンの中から効率良く多様性のある少数パターンを生成し、評価を行い、最適なパターンを抽出する仕組みです。
人間であれば何ヶ月もかかるパターン抽出の最適化作業も、ほんの短時間で終えることができます。
さらに、その中で突如出現する経験や知識ではありえないパターン、人間が考えようともしない突然変異にも似た存在(パターン)の意図的な発生を画策します。
これは進化計算の真骨頂で課題解決の革新的改革にもなりえる可能性を秘めています。

昨今、自動運転や作業ロボット、データ分析など、AIによるITソリューションが様々な分野に浸透しつつありますが、一般的にAIは経験や知識をデータ化してコンピュータに学習させ自動化するしくみ、いわゆるディープラーニング(深層学習)を主流に実用化されています。
しかし、このような経験や知識ではありえない事象=突然変異を引き起こす、或いは突然変異に対応するため突然変異する事こそが、生物学的には進化の原動力となっているのですが、ディープラーニングにおいては学習したことを正しく実践することがポイントであり、学習してない事象への対応力が弱いことが大きな課題とされています。
タイムインターメディアではこれらの課題解決の手法として、もう一つのAI手法である「進化計算」に着目し、研究を重ねてきた結果、今回の「進化計算ダーウィン」提供開始に至りました。

「進化計算ダーウィン」には課題解決のための経験や知識のデータが一切必要ありません。
タイムインターメディアではこれまで約7年、ナンプレパズル問題の自動生成にこの進化計算を活用し、研究を重ね、精度を高めて参りました。
その結果、人間であれば1年近く要する何百問の問題作成を1日で終えられる上、評価関数の調整により人間では作り得られない、すばらしい突然変異とも思える問題が作られてきました。

われわれが生活する社会においては、時間割作成、クラス分け、ダイヤ編成、シフト表作成、対戦表作成、資源割当、最短経路検索、最適化設計、最近では創薬など、天文学的組み合わせのパターンが存在する業務が多々あります。
これらの業務は経験と勘を持つ特別な専門職の人々が、膨大な労力と時間を使って最適化し、編成して来ました。
「進化計算ダーウィン」はこれらに対して何百分の1レベルへの大幅な省力化と専門職問題の解放を実現する上、人間の経験や勘、過去データではありえなかった革新的な組み合わせパターンもつくり得ます。

タイムインターメディアが提供する「進化計算ダーウィン」は、進化計算を活用するためのフレームワークであり、目的(課題)ごとにモデル化し、ソリューションとしてのシステムをご提供いたします。
学習データが不要なため、すぐに使用を開始することが可能です。
多様な組み合わせがあるため時間を要している作業や、熟練の経験と知識を持った専門家でしか対応できない業務について、大幅な省力化とより進化した解決策をご提供いたします。

これまでに進化計算の肝となる遺伝子アルゴリズム、グリーディ算法(貪欲法)及びその混合などをモデル化した、出版社向けナンプレ問題の自動生成、高等教育機関向け時間割の自動生成、放送局CM順位づけの最適化などの実用化実績があります。
さらに現在もいくつかの分野で実証実験が進行中であり、業界的には初の試みとして注目を集めています。

またタイムインターメディアでは「進化計算ダーウィン」とディープラーニングのコラボレーション、進化計算で最適化し抽出したパターンをディープラーニングで最終調整及び進化の学習の研究にも取り組んでいます。

なお、6月19日~21日まで、東京ビッグサイト(青梅展示棟)にて開催される「第10回教育ITソリューションEXPO」にて、進化計算ダーウィンとディープラーニングとのコラボレーション、「産学連携、URAのための研究者マッチング、AIコンシェルジュ」を出展いたします。

詳しい内容、導入のご相談等については直接お問い合わせ下さい。

放送局CM順位づけ業務に「進化計算ダーウィン」を導入

株式会社フジミック
上席執行役員 社長室
室長 佐野一之様

従来、成約したスポンサーのCMをどこの放送枠にどんな順番で流すかについては、業界の規制や放送局の自主規制、競合排除等の様々なルールや条件を考慮しつつ、担当者が膨大な時間をかけ手作業で行っておりました。
株式会社フジミック(本社:東京都江東区、代表取締役社長:澤野 正邦、以下「フジミック」)では、今回このCM順位づけ業務に「進化計算ダーウィン」を導入することで、最適化された順位を一瞬で導き出すことに成功し、作業効率の向上と運用コストの軽減を実現することができました。
フジミックでは今後放送局に限らず、様々な業種のお客様に「進化計算ダーウィン」を適用した提案を行い、業務効率向上とコスト削減に貢献できると期待しています。

時間割の自動化に「進化計算ダーウィン」を活用

独立行政法人国立高等専門学校機構
情報総括参事 工学博士 杉本和英様

独立行政法人国立高等専門学校機構(東京都八王子市東浅川町701-2、理事長:谷口功、以下「高専機構」)では、「国際的な視野を持つ実践的で創造性のある技術者(エンジニア)の育成」を使命として、将来を見据えて、国際社会で活躍できる社会の宝、財産としての人「財」の育成に努めています。
技術立国日本を支える優秀なエンジニアを育成する国の高等教育機関として1962年に創設されて以来、現在は全国に51 校の国立高専が存在します。
中学校卒業後の15歳から5年間の技術者教育を実践しており、実験・実習を重視した高専教育については、技術者育成に向けた早期専門教育の重要性とその有効性について、卒業生の様々な分野における活躍と合わせて、産業界のみならず、国内外の大学からも高く評価されるとともに注目されています。就職率・進学率は毎年ほぼ100%を達成しています。

高専機構は全高専の管理運営を戦略的に実施するために独立行政法人として2004年に設立されました。
上記課題を解決するために、教育の質保証と合わせ、効率的な業務の推進の観点からも、高専機構全体で統合データベースの構築と周辺アプリケーション群の整備を進めています。
教育の高度化に向けて、学生の成績はもとより、教育課程、シラバスをはじめとした科目関連情報、教職員情報等、教務全般の情報を統合データベースとして集約し、周辺アプリケーション群から当該データベースにアクセスする構成としています。

上記周辺アプリケーション群の中でも、本年10月からクラウドサービスとしての運用開始を予定している教務・入試・時間割システムについては、タイムインターメディア社へ開発業務委託を通じて構築してまいりました。
高専の教育システムは複雑で、座学に加え、実験実習を重視した専門科目と一般教養科目をバランス良く開講すると共に、混合学級制も導入している点が特長といえます。
上記の様に独自の教育システムであることから、時間割作成については多くの制約があります。このことからも、時間割システムにおいては、これまでの作成に対する教員の多大なる労力を低減できる自動生成機能に対して大いに期待されるところです。

時間割システムにおける自動生成機能において、膨大な組み合わせの中から、様々な制約に適応した最適解を導出するためのアプローチとして、「進化計算ダーウィン」のアルゴリズムが好適といえます。
何千世代にも及ぶ生物の進化過程を、適応度関数に基づく次世代生き残り個体の決定により、改良状況をモニタリングしながらシミュレーションするアルゴリズムに期待しています。
このシミュレーションは非常に計算量が多く、広大なメモリ空間とマルチコアによる並列処理をクラウド基盤上に実装することにより、実用的な時間内での複数候補解の導出を可能としました。

人工知能は、生命の持つ知能の仕組みを人工的に実現する試みです。
生命、とくに動物の知能を司っているのが脳であり、神経細胞の巨大なネットワークでできています。
これをベースに考えられたのがニューラルネットワークで、多層化することで能力を上昇させてきたものが「深層学習」です。
しかし、脳や体のなどの高度な組織は、生物の進化・遺伝により生まれました。
遺伝という仕組みが発達し、人は受精卵から出発し、だれの手も借りず数十兆もの細胞で構成される体に成長します。
元々は非常に単純な物質しか無かったところから、地球の環境変化に適応することで進化を遂げてきました。
この進化の仕組みを利用する人工知能が「進化計算」です。

深層学習では学習により知能を獲得しますが、進化計算では学習はしません。進化計算では与えられた課題の最適解を求めるべく、問題の解を生物の「個体」になぞらえて個体を進化させていきます。
課題にはさまざまな条件があり、条件への適応度を評価する関数を用意し、個体の課題への適応度を評価し、上手く進化して高い適応度の個体が発生するようにします。
生物が進化により極めて多様な、そして環境に適応する個体(データ)が生き延びることにより、設計図が無いにも関わらず、高度な知能を持った生物である人間が生まれてきました。
この生命の進化は、細胞の核の中にある核酸(DNAあるいはRNA)という遺伝物質の働きです。
両親の遺伝情報が適度に混じったどちらにも似た子を作る「交叉」と、遺伝情報の一部に変化を起こし、両親のどちらにもなかった特徴が現れる「突然変異」により、環境に適合した子孫が繁殖していきます。

生物の遺伝にはさまざまなタイプがありますが、進化計算にも多数のタイプが存在します。
遺伝的アルゴリズムが一番有名ですが、課題によっては不適切で、別のタイプを選択すべき場合もあります。
解きたい課題に応じて柔軟に個体をモデル化し、課題の要求の適応度を示す関数を用意します。多数の個体に対して、交叉と突然変異を意図的に起こし、適応度関数により次世代に生き残る個体を決めます。
進化計算は生物の品種改良に非常に近く、何十、何百、何千世代に渡って進化シミュレーションを行い、改良情況をモニタリングし、目指している個体が生まれやすいように進化の調整を行います。
進化計算は50年ほど前に考案されましたが、計算量が膨大で実用的でないと思われていました。しかし近年コンピュータの性能の急激な向上により、広大なメモリとマルチコアによる並列計算を行えるようになり、現実的な問題解決アルゴリズムとして蘇りました。

株式会社タイムインターメディアについて(http://www.timedia.co.jp/)

「ITの高度化による新たなビジネスステージの提供」を理念に、オープンソース先端技術により「ITシステムを生み・守り・育てる」をモデル化した成果コミット型ソリューションと高い技術力でネットビジネスを支えます。
最近ではブロックチェーンやAIのコア技術開発による新ソリューションを展開しています。またICT化による教育改革促進に向けた「学校教育クラウドソリューションサービス」を立ち上げ、私立大学、国立大学、国立高専、中学高校、塾などへ提供しています。

バーチャレクス・グループについて(http://www.vx-holdings.com)

バーチャレクス・グループは、東京、佐賀、アメリカ、バンコクと3ヶ国5企業、約860名の従業員が一体となり、金融・保険、IT・情報通信、通販・インターネットサービス、教育、官公庁・自治体など、幅広い業界のクライアント様に対して、それぞれの専門知識を活かしたサービスを提供しております。

本件に関するお問い合わせについて

株式会社タイムインターメディア 担当:島田
mail: edu@timedia.co.jp
TEL: 03-5362-9009