数学のかんどころ 16
群論, これはおもしろいトランプで学ぶ群
著者 飯高 茂
ISBN 978-4-320-01996-6
判型 A5
ページ数 176ページ
発行年月 2013年01月
発行 共立出版
本体価格 1,500円
数学というと、まずは微積分に線形代数と思っている人も多いし、実際大学の初年度で教える数学がそうなっていることが多い。
しかし、それはあくまでも近代数学の考えで、現代数学の考えではないと思う。
数学というと、代数学、現代代数学の勉強をしなければならない。
情報科学の基礎として、代数学、もうちょっと限定した分野として『群・環・体』あたりを知っておきたいものである。
情報工学科では、このあたりはそれほどやっていないかも知れないが、情報科学科ではかなり勉強しているのではないかと思う。
情報も、プログラミングだけでなく、その基礎となる数学部分をしっかりやっておこうと思うと必要なはずだ。
しかし、代数学を勉強しようとして挫折した人は非常に多いと思う。
線形代数や微積分と違って、ひじょうに抽象的な世界になってしまうのがその原因だろう。
『群・環・体』あたりを、入門者向きに書いたと主張している本は何冊かあるようだ。
ページ数の制限や、どのレベルまで書くか、どのくらい丁寧に書くかがあるが、全部を満足することは不可能で、多くの本は内容が薄いか、読んでも分からない場合が多い。
ということで、群だけを説明した初心者向けの本を読んでみた。
副題が「トランプで学ぶ群」となっており、置換をトランプを例に説明していた。
群といえば、なんといってもガロア群が有名であるが、そんなところは対象にしていない。
内容は、以下のようになっている。
第1章 トランプと群
第2章 置換とサイクル
第3章 群の一般論
第4章 いろいろな群
とあるのだが、これでは第3章、第4章に何が書かれているか分からないだろう。
置換群、商群、準同型、同型、、、、、とありSylowの定理に至る。
第3章までと、第4章のペースが全然違って、第4章はハイペースになっていて、きちんと理解できた自信がない。
代数学になると、特殊な記号を定義して使うことがよくあるのだが、それをきちんと記憶しておくことは難しい。
また、用語の定義もチョコチョコと出てくるが忘れるので、索引などで定義ページ、解説ページを探すことが多い。
本書の索引には、用語はのっているのだが、記号が入っていないので、記号については、自分で索引に書き加えるなどしていかないと、とても困ることになってしまった。
数学をやるためには、記号くらいはちゃんと記憶しないといけないのだろうか。これはとてもハードルが高い。