2017年 06月 20日
このブログ記事は『データ解析のための統計モデリング入門』(久保拓弥 著、岩波書店)という、とても分かりやすい統計モデリングの入門書を、さらに分かりやすくするために読書メモをまとめたものです。
今回は第8章、マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法とベイズ統計モデルについてのまとめの一回目です。
この章ではMCMCやメトロポリス法について説明がされています。
本の中ではMCMCの前に、まずはランダムにパラメータを更新していく手法が紹介されています。
なので、本の中で紹介されているような推定法を実際に動かしてみるコードを用意しました。
コードはRで書きました。
dataSize <- 20
N <- 8
data <- rbinom(dataSize, N, 0.45)
summary(data)
cat("Analytically, q =", sum(data) / (dataSize * N), "\n\n")
likelihood <- function (q) {
sum(log(dbinom(data, N, q)))
}
develop <- function(q) {
if (runif(1, 0, 1) < 0.5) {
q + 0.01
} else {
q - 0.01
}
}
q <- round(0.3 + runif(1, 0, 0.3), 2)
ql <- likelihood(q)
i <- 0
cat("start q =", q, "\n")
while(i < 30) {
p <- develop(q)
pl <- likelihood(p)
if (ql < pl) {
q <- p
ql <- pl
}
cat("q =", q, "likelihood", ql, "\n")
i <- i + 1
}
cat("last q =", q, "\n")
サンプルデータとしては、本の中でやっているのと同じように、事象の発生確率が 0.45
で、事象の試行回数は 8
の二項分布から、20
個のサンプルを取って用意しました。
このデータに対して、事象の発生確率 q
が分かっていないものとして推定していきます。
推定方法は q
をランダムに変化させて、対数尤度を計算し、尤度が大きくなっていたら変化させた先の q
に更新する、という方法です。develop
関数の中で q
に 0.01
足すか引くかして q
を変化させています。
コードを実行すると次のような出力が得られます。
Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.
1 3 4 4 5 6
Analyticaly, q = 0.5
start q = 0.35
q = 0.36 likelihood -41.69397
q = 0.37 likelihood -40.76192
q = 0.38 likelihood -39.90848
q = 0.39 likelihood -39.13129
q = 0.39 likelihood -39.13129
q = 0.39 likelihood -39.13129
q = 0.39 likelihood -39.13129
q = 0.4 likelihood -38.42821
q = 0.4 likelihood -38.42821
q = 0.41 likelihood -37.79737
q = 0.42 likelihood -37.23712
q = 0.42 likelihood -37.23712
q = 0.43 likelihood -36.74602
q = 0.44 likelihood -36.32282
q = 0.45 likelihood -35.96647
q = 0.45 likelihood -35.96647
q = 0.45 likelihood -35.96647
q = 0.46 likelihood -35.67609
q = 0.47 likelihood -35.45097
q = 0.48 likelihood -35.29055
q = 0.49 likelihood -35.19445
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
q = 0.5 likelihood -35.16245
last q = 0.5
この例の場合は、最尤推定値を解析的に求めることができるので、まず最初にその値を出力しています。q
をランダムに変化させていくと、最終的にはその値に近づいていくのが分かります。