計算で身につくトポロジー
著者 阿原一志
発行 2013年7月15日
サイズ A5, 224頁
ISBN 978-4-320-11039-7
価格 2,800(本体)
プログラミングとはあまり関係ないと思われているのではないかと思うトポロジーの入門書を読んだ。
実は、はるか昔のことであるが、頂点(V)、稜線(E)、面(F)に関するプログラムを開発したことがある。
3次元の立体を、ちゃんと中身が詰まった状態、つまり3次元閉曲面で囲まれたものとして処理するプログラムを作っていたことがある。
3次元のモデルには、ワイヤーフレームモデル、サーフェースモデル、
ソリッドモデルがあり、色々なことをきちんと処理しようとするとソリッドモデルでないとダメである。
ソリッドモデルは、頂点(V)、稜線(E)、面(F)の関係を表す位相構造の部分と、位置などを表す幾何情報の部分があり、きちんと処理しないと、形状操作している間に立体が空中分解したり、存在できない立体になってしまう。
位相構造の部分は、直接操作すると位相構造を破壊する可能性が高いので、オイラーオペレータという位相構造を変更する関数を用意し、そのオペレータを使っている限り、位相構造は整合性を取れるようにする。
参考資料:
「ポリゴンモデルのデータ構造と位相操作」三谷純
…というようなことをやっていたが、当時はオイラー数くらいは知っていたが、後は適当というか、直感に頼ってプログラムを書いていたような気がする。
当時、ちゃんとトポロジーも勉強した方が良いと思いトポロジーの本を入手して読み出したが、半分あたりで挫折し、30年あまり経過してしまった。
それだけではないのだが、今回、トポロジーの本を読んでみた。
入門書とはいえ、証明などもそこそこ載っている。
そこそこというのは、一部の定理の証明は難しいから省略とか、演習問題にされてしまっていた。
また、一部の証明はかなり長く何ページにも渡っていた。
補題に分けて、延々と証明が続くものとか、難しいから次の章まで飛ばして良いとか色々あった。
それでも、複体、完全系列、ホモロジー、閉曲面の分類、、、などが説明され、例題、演習問題で計算問題があり、トポロジーを計算を通して体感できる。
この場合、計算といっても、数式ではなく、図形を延々と変形していくのも含まれている。
本書のまえがきの最後は以下のように締めくくっている。
本書は「トポロジーの専門家が面白いと思うトポロジー」ではなくて「学生が面白いと思うトポロジー」を集めたものである。微分積分も確率統計も苦手だという人もホモロジー群だけはわかるのではないかとひそかに期待している。
実際、そこまでの期待は過剰だと思うが、いろいろ面白いグラフの変形練習などがある。