最近は、会社の採用面接に立会うこともある。しかし、こちらは面接を受けて入社したことがないので、面接は素人である。面接のとき、どのくらい面接してきたかを聞くと、 30 社を越えている人もいた。そういうあちこちの面接事情を知り尽した達人も来るから、こちらも対策を講じるべきと思うが、面倒なので何もしていない。面接では相手の能力や適性をある程度判定するだけにしている。面接上手もいるだろうし、面接だけでは分らないことも多いので、今の会社では、一定の試用期間を設けている。そんなはずではなかったというのは互いにあるだろうから、安全弁は必要だ。
さて、私自身の就職であるが、じつは就職活動をしたことが全くない。転職の時にも全くやっていない。といっても、ふらふら遊んでいた訳ではなく、就職していない間はせっせとプログラムを作り、マニュアルとか、さらに詳しい解説を書いていた。まとまった時間ができると、普段使用していて不満に思っていることを、新しくプログラムを作って解決しようと思う訳である。
最初の就職のきっかけは、パソコンという言葉さえなかった黎明期に、 NEC の TK – 80 というトレーニング用マイコン向けのコンパイラを作ったことである。遊びのプログラムと一緒に仲間に見せているうちに、あるカメラ会社の研究所で学習用に使いたいので説明も欲しいというので、延々と書いて渡したら、結構好評だった。
それに気を良くして、 BASIC コンパイラを出版社に郵送すると会いたいというので出かけて行ったら、その場で原稿を依頼されてしまった。何ページでも良いというので、原稿料のことも聞かずに、それまでに作っていた資料を編集し直して渡したら、ついでにプログラム開発の仕事をやらないかということで、誘われてしまった。これがパソコン出版業界に就職したきっかけである。
もう 1 つのきっかけは、約 20 年前に、 2 次元グラフィックス ( ソリッドモデラ ) はとてもパソコンでは無理と思われていたのだが、パソコンで動かしたくなりプログラムを作ってしまった。知り合いの会社から少し販売もしたのだが、興味を持ちそうないくつかの会社に見せているうちに、 Unix で非常に強力な会社に遭遇してしまい、そこで働くことになってしまった。予定と違ったが、そこで身に着けた技術や人脈が、今にしっかり繋がっている。
他にもいくつかあるが、だいたいこういう感じで、プログラム自慢をしていたはずが、就職したり、仕事になったり、起業することになったり、国から支援を受けることになったりしている。今のオープンソースのコミュニティ活動に何となく近いかも知れない。
就職活動で、延々と面接を受けるという方法もあるのかも知れないが、そういうことを一切しなくても、作ったプログラムを持ってうろちょろするのも 1 つの方法ではないかと思う。プログラマ志望なら、 「こんなプログラム作っちゃったんですが、いかがでしょう」で就職してしまうのが本来の姿だと思うのだが、どうだろう。